教え方のヒント

おしえて先輩!~日本語指導ボランティア養成講座2018~   


ica volunteer Japanese teacher training program


 養成講座が始まって2ヵ月。1月からの模擬授業を控えた受講生のみなさんの疑問・質問に、icaで現在指導にあたっている”先輩”が答えました。

Q:ひとりの学習者に、日本語をどのくらいの期間教えますか?
A:学習者が日本語を勉強する目的によって、様々です。仕事が決まり、短期で終了する人もいますし、14年余り続いたクラスもあります。3カ月~1年ぐらいの人が多いですが、学習者の事情は変わりやすいので、勉強がスタートする時点では、予測が難しいです。(事務局)

Q;文化の違いを感じたのは?
A:ジェスチャーを交えて話すとき、NGなジェスチャーがあること。(M)
A:シャワーだけ使用する国は、風邪で熱があってもシャワーを浴びる。宗教によって、厳しい食べ物の制限がある (仏教は精進料理、豚肉がダメ)。 一夫多妻の国がありますが、「私は3人目の妻の子供です」と聞いたとき。(Y)
A:言いにくいことも、はっきり言わないと通じないなと思います。忖度するのは、日本人だけなんだなーと。(T)
A:英国の人、中国の人、バングラデシュの人と3人担当しましたが、幸いなことにありませんでした。鈍感なのかもしれません。(K)

Q:指導していて、「これは困った」ということは?また、その場をどのように切り抜けましたか?
A:普段なにげなく日本語を使っているので、生徒さんの文章を直してあげるのが、難しいです。言いたいことは、分かるのですが、何かおかしい日本語になっていてどこを直してあげたらいいのか分からなくなります。全部直す方が簡単です。「おかげさまで、ちっと頭が痛いので休みます」などです。質問などで、説明しきれないときは、次までに調べてきますと言いいます。(T)
A:難しい言葉を説明するときに、日本人に説明するのと同じような説明の仕方をすると、説明に説明をしないといけなくなるときがある。(M)
A: 教え始めの頃は、特に多く、ジェスチャー、絵、本、板書で説明し、それでも理解してもらえないときは、次回までに調べて、答えますねと言って切り抜けます。(Y)
A:日本語の文法について、「どうして?」と時々聞かれますが、学習者に納得出来る答えが上手く説明できないことも多いです。「覚えてください。慣れることです」と言ったこともあります。(M)

にほんご教室 My classこんな工夫をしています

「うんこを頭におく」。教室から聞こえてくる声に、事務局員も思わず吹き出してしまいます。昨年大ヒットとなった「うんこ漢字ドリル」のような例文で周恩駿くん(中国)を指導する松本さんにお話を伺いました。

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授業中の松本さん(左)と周恩駿くん。(右)ホワイトボードにはうんこの絵がいっぱい

万国共通!?

◆恩駿くんは、4月から小学生ですね。
松本: はい、入学準備のため、1月からicaでの勉強を始めました。

◆あの例文はどこから?
松本: この年齢の子どもは「うんこ」という言葉にすごく反応を示しますよね。たまたま最初の授業のとき、「大きい/小さい」を教えようとして、ぞうとねずみのうんこの絵を描きました。すると、そのうんこの絵にとても反応がよく、覚えるのも早かったんですね。それからは、うんこを絡めながら説明しています。子どもがうんこが好きなのは、世界共通ですね。うんこが出てくると表情が違います。恩駿くんの反応を見ながら、興味のありそうなものを取り入れて、語彙を増やしていくようにしています。うんこを「いっこ、にこ」と数えたら、「じゃあ、次はえんぴつは?ねこは?」という感じです。ひとつの言葉から、その場のひらめきで、どんどん発展させていくので、連想ゲームをしているようです。楽しく覚えてくれるといいですね。

 

摩訶不思議な小さな1語

A Small Magical Word


「これ、食べるよね」の「ね」について深く考えたことがありますか。

?相手が食べるに違いないとは思っているけど、一応試しに聞いている。
?せっかく作ったんだから、食べないなんて言うはずがないと促している。

このように、たった1語の「ね」が多くの日本語学習者を悩ましていることを知りました。

「ね」や「よ」という終助詞を研究しているエジプトからの研修生。彼女にとっては摩訶不思議な小さな1語。アラビア語にはない終助詞だが、日本語を話す者にとっては終助詞に救われていることが多いのかも。

ここ泉州ではやはり、「け」が活躍しているかな(笑)。 (K.A)

(icaNEWS 259号)

日本語が上達するにつれて

A tough problem for non-native speakers ?cultural gap

2013年10月

日本語が上達したのに、ちょっと困ったことが…。語学の習得には、文化ギャップによる表現の難しさが潜んでいました。

日本語が上手になって、友達を失う人がいる。下手なうちは、少々ずれたことを言っても、周囲の日本人は許容できる。子供に大人並みのことを要求しないのと同じだ。ところが、日本語が上達していくうちに、その人の日本語に文化の違いが表に出てしまい、日本人の側が許せなくなってしまうのだ。日本語学校で上級の学生から「給料いくらですか」と聞かれてカチンときてしまった。待ち合わせに遅れて謝るどころか、「先に行ったらいいのに」と言われて腹が立ったという話もよく聞く。自分のできることをアピールするのが当たり前という文化の人たちには、「わたしは?が上手です」と平気で言うだろう。
我々は、日本語が上手な外国人は、日本人と同じ考えや行動様式をするものだと思ってしまう。もう少し外国人とのつきあいが多くなれば、また変わってくるのだろうが。しばらくは、時々「日本人はそんな言い方をしません」と教えなければならないだろう。(澤田直子)

教えることについて センパイ指導者のみなさんが 語ったこと2012

?現ボランティア指導者学習者を囲んで?

 

 日本語養成講座の授業の一環で現役指導者とのフリートーク会が開催されました。
 初級者指導法の学習や模擬授業体験を終えた講座生のみなさんにica日本語教室の全体像について伝える試みです。

●教室の主体は学習者
日本語教室の主体はあくまで学習者であり、最初にすべきことは、彼らのニーズを把握することである。次にそのニーズに如何に応えるかを考え、準備することである。彼らのニーズは、例えば、ただ話を聞いてもらいたいということから、看護師試験、日本語能力試験等の勉強までと多様である。そのためには日ごろから日本語を学習することは言うまでもなく、出来ればあらゆる分野に関心を持ち学習することが望まれる。
【林さん】

●学習者の名前のよびかた
韓国人の学習者に姓で話しかけていたが、韓国では姓のみで呼びかけることはあまりないと知り、以後、名前で呼ぶようにした。国によって違うと思うので、初めにどう呼べばよいか尋ねるようにしている。
【熊取谷さん】

●助詞を教える場合の注意
助詞を教える場合、強調するのは最初だけにすること。最後までそのままだと不自然な日本語になってしまう。
●学習者にふさわしい日本語を
学習者にふさわしい日本語を教えるようにすること。男言葉、女言葉、若者言葉、方言と共通語、俗語等の問題についてよく考えておくこと。
【澤田さん】

●心がけていること
日頃日本語ボランティアとして私は次のようなことに心がけています。学習者が日本語ができないといって子供扱いをしないようにするとか、また、指導者が一方的に学習者に教えるというのではなく、できるだけ学習者に発話の機会を与え、活発な雰囲気になるようにつとめること等です。
【松井さん】

●長く続ける秘けつ
日本語を指導することにこだわらず、ボランティアという気持ち、交流ということを忘れずに気楽にボランティアを楽しむことが長く続ける秘けつだと思っています。
【高木さん】